第1部 コモン・トーナメント編
レギュレーションは’98年4月1日付けのスタンダード。ただし、使用可能なのはコモンのみと言う制限付き。
○メタゲーム
この環境では土地破壊や手札破壊、ロックなどの構築は無理である。コモンに豊富な
クリーチャー・バーン・カウンターのいずれかである。
また、土地は基本地形だけに限られるので、多色は無理である。3色以上は不可能、
2色でも厳しく、単色が有利。
よって、以下のようなデッキが想定される。
・赤単バーン
・黒ウイニー(シャドー・飛行を織り交ぜる)
・ピュアグリーン(セニョール・スタンピー)
・白ウイニー(シャドー+浄化の鎧)
・赤スライ
・赤(黒・緑・白)クリーチャーバーン
・青カウンター+フェージング巨大クリーチャー
・青フライング・ウイニー(不安定性突然変異)
・赤青カウンターバーン
ところで、クリーチャー・バーン・カウンターの内、このレギュレーションでどれが1番得を
しているのだろうか?
クリーチャー:全体除去がなくなったが、優秀なクリーチャーも消えている。また、単体除去も
有効なものがかなり残っている。
バーン:主要なカードは全て残っているが、最大の敵である”赤の防御円”も健在。
これへの対策カードはなく、色を散らすにしても特殊地形がないので厳しい。
カウンター:”対抗呪文”はあるものの”放逐””霧散雲消”がない。また、カウンターに
とって危険なカードは全て無くなっている。
個人的な趣味もあって、カウンターが1番有利と考え、選択する。
カウンターを使う場合の問題は次の2つである。
1,速度の欠如
2,最終的に勝つ手段
1については、大量ライフ獲得呪文がないので、相手の手を停滞させる事で解消する。具体的には
”記憶の欠落””時の引き潮””大クラゲ”を使用する。特に後ろの2つは、”浄化の鎧”に頼る
白ウイニーや土地の移動があるセニョール・スタンピーなどには効果絶大である。また、ドローを
加速する為に”知恵の蛇””衝動”も投入する。マナとドローを加速できる”精神石”も入れる。
2については、地上クリーチャーが8体も確保されているので、特に考慮する必要はない。
ただ、これらの攻撃が通るように、”洪水””平和な心”を使用する。(本当は、”微風の守り手”
などの巨大飛行クリーチャーや”放蕩魔術師”の様な直接ダメージ源を入れるべきなのだが、
余裕がなかったので入りませんでした。)
”平和な心”は、序盤は出てきたクリーチャーにとりあえず張って動きを止めておきます。そして
ターンが進行して、洪水や防御円でそのクリーチャーが無効化できるようになったなら、”転覆”で
回収して、無効化できていない他のクリーチャー(飛行を持つものなど)に付け替えます。
赤単バーンも多いと予想され、その場合に無駄になるカードも多いので、デフォルトで”赤の防御円”
を投入する。そして、サイドボードに交代要員として”心優しき一角獣”を用意する。
で、完成したのが以下のデッキ。 メインボード60枚 対抗呪文*4 知恵の蛇*4 大くらげ*4 時の引き潮*4 記憶の欠落*4 転覆*2 洪水*2 衝動*4 平和な心*4 赤の防御円*2 精神石*4 島*15 平地*7 サイドボード15枚 心優しき一角獣*3 赤の防御円*1 黒の防御円*3 白の防御円*3 緑の防御円*3 青の防御円*2メインボードだけなら、平地が多過ぎますが、サイドボード後に白いカードが大量投入される (特に赤相手の場合)ので、この枚数です。
2回戦目
相手のデッキはピュアグリーン、セニョール・スタンピー。1本目は相手が理想的な展開をしたので、
こちらはなす統べなく負ける。
2本目以降は、1本目ほどうまく展開しなかった上に”緑の防御円”があるので、余裕で連勝する。
ただ、せっかく”収穫のワーム”をライブラリに戻して無効化したのに、調子に乗って”はぐれ象”
まで戻してしまい、死に札となっていたワームまで再展開させてしまうという失敗をしてしまう。すぐに
防御円がでたので事なきを得たが、もう少し注意が必要であった。
3回戦目
相手のデッキは青を散らした黒ウイニー。
1本目、シャドーや飛行クリーチャーを中心としたデッキだったので、こちらのクリーチャーが有効な
ブロッカーとならず、ライフを大量に削られる。シャドークリーチャーは”洪水”で無効化したものの、
”奈落のインプ”に殴られ続け、残り数点まで削られる。”時の引き潮”などで時間を稼いでいると、
”生命吸収”を打たれる。当然カウンター。最終的に残り1点まで削られたものの、待望の”平和な心”
を引く。
思えば、”生命吸収”による1ターンのロスが勝負を分けた。
2本目は早々と”黒の防御円”を引いてので、楽勝であった。
3回戦を終えたところで全勝者が2人出た。時間の都合からか、この大会は3回戦で終了だった。 プレイオフとして、サイドボード交換なしの1本勝負という、酷い条件のデュエルをする事になった。
プレイオフ
相手のデッキは緑に赤を散らしたクリーチャーバーン。
最初の手札は土地1枚、しかも平原という最悪な土地事故であった(この大会はマリガンが
オプショナルではなかったのだ!)。
幸運なことに、すぐに島を引き、”精神石”を置けた。そこから”知恵の蛇”を召還する事ができた。
さらに幸運なことに、相手も土地事故を起こしていた。山を3枚ほど出していたが、手札の中は
緑一色だったのだろう。森を1枚引くと、ギルドメイジやらエルフやら色々と出してくる。その度に
”大クラゲ”で手札に戻されたけど。
”大クラゲ”が大量にならんで焦ったのであろうか、唯一の緑マナ供給源であった森を犠牲にして
”はぐれ象”を出してきた。これを、”時の引き潮”でライブラリに戻したので、勝負が決まった
(本来なら、”時の引き潮”は”大クラゲ”よりも先に使うものなのだが、今回は「相手が事故っている内に
殴り殺してしまおう」という考えから”大クラゲ”を先に出し”時の引き潮”を温存する形になっていた。
この事が結果的に良い方向へ働いた)。
優勝賞品はテンペストのスターター1箱にストロングホールドとヴィジョンのブースター1袋
であった。テンペストには”大地の知識”が、ストロングホールドには”サルタリーのチャンピョン”、
ヴィジョンには”大天使””流砂””ウクタービー・オラウータン””大クラゲ”が入っていた。
”大地の知識”と””大天使”はその日の内に”悪疫”と”ジョークルホープス”に変わった。
賞品が良かったこともあって、優勝できて非常にうれしかった。1つ心残りなのは、あれだけ対策
した赤いデッキとあたらなかった事。実際、赤単なデッキは結構いたのに。