◎エクステンデッド編
○メタゲーム
まず、念頭に置かないとならないのは、山梨におけるプレーヤーレベルの低さだ。デッキ構築能力やプレイングは遙かに劣る上、情報がほぼHJの発行物に限られる。最新のレギュレーションに対応し、良い成績を上げたデッキなど知っていない。それに、出版物に載るデッキが常に時代遅れの賜物であるせいであろうか、そういうポテンシャルのあるデッキをコピーして使うと言うことをしない。
そして、それ以前の問題として、エクステンデッドを充分に戦い抜くのに必要なカード資産を持っているプレーヤーがほとんどいないと言うこと(含む自分)。スタンダード環境においてさえ、ミラージュやヴィジョンのカードが不足したデッキがごろごろしている世界である。かろうじて4thのカード(Lighting Bolt,StoP,Savanna Lionなど)は持っているかも知れないが、流通量が少なく日本語版のないALのカードはまず持っていない。HLは比較的多く流通(現在ですら、店頭に並べられている店が存在する)していたし、IAとCHはつい最近まで店頭に並べていた店があったので、持っている人は少なくないだろう。だた、これらのエキスパンションの内、有効なカードはほとんど5thに収録されている。ましてや、RVのデュアルランドなど、満足な量を持っているプレーヤーはいないと推測される。FEのコモンも、そんなに持っていないと思われるが、コモンなので入手は比較的であろう。
さて、このような状況でどの様なデッキが構築されるか?
・稲妻を入れた赤単バーンorゴブリンシュート
・LionとStoP(と白オーダー)を主力とした白単ウイニー
・ヒムと黒オーダー主体のネクロ
・カウンターポスト
・Erhanam Djinnを主力としたデッキ(緑単ストンピィ・緑赤ステロイド・緑白アーニゲドン)
単色が多いのは、デュアランを持っていない不利を補う為であろう。EXで数多くなった、特殊地形対策カードの多さも、これに拍車をかけていると思う。 Erhanam DjinnとIcy Manipuratorは、持っているかどうかギリギリのラインであろう。これらを使ったデッキあまり対策しない事にする。制限時間が40分というふざけた事を主催者がしているので、Icyを有効に使った遅いデッキはまずいないだろう。カンポスも同様だが、適当に構築して適当にプレイしてもそれなりの強さがあるので、多少は視野に入れておくことにする。カードが揃っていれば、文句無く使っているデッキであるからだ(以前、ACAP香港予選に持っていった様に、COP赤をデフォで入れるだろうけど)。
で、出来たのが以下のデッキ。 プロツアー・シカゴ大会で優勝したランディ・ビューラーが使っていたファイアーストーム版ネクロ・デッキを改悪したものである。デュアランがないので、ちょっと回しにくいし、絶版系カードを充分に揃えていないのが泣き所であろう。ちなみに、メインボードは以前からスタンダード用に開発していたものを基本に、手持ちのエクステンデッド用強力カードを置き換えたお手軽なものだし、サイドボードは、当日、東京か帰るバスの中で30分たらずの時間しかかけずに考えたものである。はっきり言って酷いものなので、あんまり参考にしないように。
○ネクロ・ズアー メインボード60枚 3 Hymn to Tourach 4 Order of the Ebon Hand 4 Knight of Stromgald 4 Drain Life 2 Contagion 3 Necropotence 2 Demonic Consultation 2 Dark Ritual 2 Lighting Bolt 2 Incinerate 2 Guerrilla Tactics 2 Firestorm 1 Zur's Weirding 2 Disenchant 2 Honorable Passage 13 Swamp 2 Undiscovered Paradise 2 Reflecting Pool 4 Gemstone Mine 1 Lake of the Dead 1 Wasteland サイドボード15枚 2 Mind Bend 2 Guerrilla Tactics 1 Perish 2 Wasteland 4 Dread of the Night 1 Pyroblast 2 Energy Flux 1 Honorable Passage○戦績
屈辱である。せっかく最大限の対策を練った相手だというのに、何一つ、カードを引かずに負けてしまったのである。
今、気が付いたのだが、この大会のジャッジはレベルが低い。プロテ黒持ちのクリーチャーへのダメージをパッセージで軽減できるか、確認するのを忘れていた。正しい裁定を下してくれない危険性があるので、これは抜かりであったかも知れない。
・マッチ2敗:総合1敗
2回戦目
白黒シャドーウイニー。しかもデッキ枚数が60枚を大幅に越えている。80枚はあろうか。ふざけるな!
書くことは何もない。1本目。プロテ黒は火力で焼き、プロテ赤はContagionで殺した。その後、騎士が無人の荒野を行く。サイド後は、いきなりDread of the Nightを置く。で、ネクロを置いた後、ズアーを張る。相手にエンチャント破壊はなし。以上。
・マッチ2勝:総合1勝1敗
3回戦目
緑単のクリーチャーデッキ。ストンピィらしい。
1本目。まずHymnを打つ。が、相手はこのカードを知らず、「ランダムで2枚捨てて下さい」と言うと、選んで捨てようとしたので「ランダムです」と再度、促したら、今度は手札を見せてくれた。
手札は見なかったふりをして、Giant Growth系のカードを騎士で無駄遣いさせる。その後、おもむろにネクロを張る(クリーチャー除去に使ってくれれば、1:1の交換だが、本体のダメージ追加に使われると、3:1のカード交換になる)。Lake-Drain(内2回をデモコンで引っ張ってくる)を4回決めて、そのまま勝つ。
サイドボード後の2戦目は、1枚だけ入れたPerishが決まって勝つ。
いないと踏んで対策を減らしたデッキだけど、何とか勝つことができて良かった。
・マッチ2勝:総合2勝1敗
優勝は、なんとBuried Aliveデッキ。2位と3位は共にバーンデッキでした。Buried Aliveはメタゲームの盲点であったので闘って勝てたかどうかは疑問です。また、このデッキはバーンにも耐性があるので、StoPの少ないと思われる山梨のエクステンデッドでは、勝つべくして勝ったと言うべきでしょう。
○メタゲーム
山梨では、クリーチャーデッキが全盛である。これは、前の大会のデッキ登録用紙から明らかである。で、多少できる人は赤単バーンに走る。カード資産のあるプレーヤーには、コントロール系のデッキを使用する人もいるが、デッキ構築、及びプレイングが洗練されておらず、他のクリーチャー系デッキを使う人間にとっては脅威かもしれないが、少なくとも私にとっては脅威にならない。使用しているカード1枚1枚のポテンシャルと細かいプレイング技術の差で勝てる(実際問題、脅威になりそうなプレーヤーがいないわけではないが、そう言う人間は主催団体にいたり、速攻デッキの方により熟練していたりする)
脅威となるのは、手慣れた速攻デッキを使ってくるプレーヤーである。が、僕の水準から言うと、山梨のプレーヤーが使うデッキは最速のデッキとは言えない。今のスタンダード環境において、共に最良のデッキ構築とプレイングをした場合、速攻デッキが相手を殺す速度はコントロール型デッキが場を制圧する速度より早い。が、ベストではない速攻デッキに対してベストのコントロール型デッキの場合、コントロール型の方に軍配が上がる。故に使い慣れたコントロール型を選択する。
早い話、赤スライやスーサイダーブラックがいないと踏んで、大好きなStasisデッキを使うというだけである。
ターボステイシスは、クイーリオン・レンジャーの登場で多色のスカンダリー化を余儀なくされたが、これによってランドから喰らうダメージ量が甚大になり、トーナメントシーンから姿を消した。だが、テンペストの登場により、プロパガンダ・転覆・時間のねじれ・サファイアのメダリオン等の加勢を受け、再びトーナメントレベルのデッキとして復活可能な能力を獲得したと思われる。
○タイムワープステイシス メインボード60枚 4 Stasis 3 Capsize 3 Time Warp 3 Impulse 3 Propaganda 3 Mana leak 2 Power Sink 1 Forbid 1 Recall 2 Kismet 4 Howling Mine 4 Sapphire Medalion 4 Lotus Pedal 1 Felden's Cane 3 Aderker Waste 19 Islande サイドボード15枚 2 Disenchant 1 Forbid 1 Propaganda 2 HydroBlust 3 Chill 4 Air Elemental 2 Silver Wyvernプロパガンダは、レンジャーを無効化し、序盤に張ることで時間を稼ぎ、マナを使わせることでロックの開始できる隙を簡単に得る事を可能にした。転覆は、万能のパーマネント除去であり、また、相手のターンエンドに停滞を手札に戻すことができる。
サイドボードの4/4飛行6体は、黒系ウイニーを使う上位プレーヤーとの対戦を意識したもの。トランスフォーマーによって相手の意表をつき、クリーチャー対策をサイドに落としている隙をついて勝利をもぎ取る。前日の調整で持ち込んだ東京のRV杯ではスーサイダーブラック対策に0マナクリーチャーを入れていたスペースである。山梨ではスーサイダー程は早さに特化していないが、多色化によってコントロール系デッキに大打撃を与えるカードを多数取り揃えたデッキがいるからだ(そして、そのコントロール系デッキ対策は私の使った筑波ブルーに標準が合わされているのだ)。
○戦績
試合前、質問時間を利用していろいろとヘッドジャッジに尋ねる。「ルーリングはいつのものまでを採用するのですか?」(この時点で既に、9月の裁定やフロアルールの変更まで情報として流れている)「僕が知らないから7月のものまで」 うーん、来月の大会でも、9月の裁定が採用される事はないな。
それともう1つ。ここのジャッジ達はComes into playエフェクトはそのパーマネントをキャストするときに対象を取ると主張している。少々悪どいが、この事を確認しておいた。おかげで、ウクタービー・オラウータンが出ても、転覆を使ってフィズらせる事ができる。ルーリング的には大間違いだが、ヘッドジャッジは絶対である。それを尊重せねばならない(笑)。
それともう1つ。これらのクリーチャーを墓地再利用カードで釣ってくる場合にも、その呪文宣言時に対象を指定するとの事。生ける屍で大クラゲやネクラタルが戻る時はどうするか(宣言時に対象としてリーガルな場にいるクリーチャーは、解決後は墓地にいる。また、解決後にも場にいるものはその間にいったん墓地に行くから追跡されない)とか、死体のダンスでネクラタルを持ってこようとした時に宣言後に墓地操作されてオラウータンが出てきてしまったらどうするか、とか色々と疑問が浮くのだが、それはルールを一応はちゃんと知っている人間だからこそ。生ける屍の例を突っ込もうとしたのだが、「早く始めろ」との野次が飛び、また、問い詰めた結果、正しい裁定を下されても困るので、そこで打ち切った。
とにかく、絶対に生ける屍などを使った墓地利用デッキでは出ない事を改めて誓う。だが、沙希ちゃん(虹のイフリート)が使いやすいのは非常に嬉しい。次の大会では、最後にもうひと花、咲かせてみようと思う。
1回戦目
対戦相手は白ウイニーらしい。だが、クリーチャーの水準が低く、簡単にロックにはまる。が、完全にロックした後Feldon's Caneを見せても投了しない。こちらが停滞を維持しきれない事などないのに。
今、考えると、大きなクリーチャーも入ったデッキなのかも知れない。が、いずれにせよ、序盤でロックに入ってしまい、相手に何もさせないまま勝ってしまった。警戒した沈黙のオーラもでなかったし。
・マッチ2勝:総合1勝
2回戦目
正体不明のコントロールデッキ。いや、本当に闘っている間、相手のデッキは白緑だと言うこと以外わからなかった。隙をついて停滞を張り、そのままロックしてしまったのだから。相手もすぐに投了してくれるので、デッキが全くわからなかった。最後まで。
なお、最終戦に隣で闘っていたのを観戦。ここで初めて、ドルイドの誓いで大天使を出すデッキだと言うことが判明する。よく考えれば、この方は大天使のコレクターでした。
・マッチ2勝:総合2勝
3回戦目
白クリーチャー主力+赤火力補助デッキ。
だが、クリーチャーの水準が低いため相手にならず。途中、山が出てると言うことで火炎破を警戒するも、山は1枚しか出なかった。
・マッチ2勝:総合3勝
4回戦
白青緑のプリズン。ただし、勝ち手段は不明。
いきなり冬の宝珠を出され、窮地に立つが、ダイヤモンドを2枚出してタップドアウトしたところで使い捨て転覆でオーブを戻し、そのまま停滞ロックへ移行。
2本目は、サイドからカウンターとDisenchantが入るので問題なし。
・マッチ2勝:総合4勝
5回戦目
この段階で全勝者は3人。下手をするとプレイオフの可能性あり。抽選の結果、私はもう1人の全勝者と対決。
この相手、山梨にはいないと踏んだスータイダーブラック!
残りライフ1点まで削られるものの、プロパを張って停滞ロック開始。起きているクリーチャーは1体。Kismetなし。スーサイダーなので、2マナ揃うまでは時間がかかると思われるが、暗黒の儀式を引かれる危険性もある。
途中、暗黒の儀式を引かれたが、何故かそのマナで邪悪なる力を付ける。そんな事をすると、プロパの支払いに使えないのに。マナバーンを指摘し、急場はしのぐ。が、次の暗黒の儀式を引かれてゲームエンド。
で、サイドボード。プロパを1枚追加した程度では勝ち目はない。吠えたける鉱山も相手に悪く作用し過ぎるので、トランスフォーマーを決行。ステイシスロックの要素全て(Stasis*4,Howling Mine*4,Kismet*2)を抜いて、赤対策以外のサイドボード全てを入れる。が、サイドボード枚数確認の時に、相手は「サイドボードを使いません」との事。
そう、相手は元からクリーチャー除去カードを全く入れていないデッキだった。これではトランスフォーマーの意味もなくなってしまった。巨大飛行生物を2枚展開し、殴り合い勝負に持ち込むものの、相手は強化したシャドーを並べ、1ターン差で負ける。最後のドローが時間のねじれか転覆なら逆転勝利であったが、その願いもむなしく島を引いて負ける。
・マッチ2敗:総合4勝1敗
優勝はこのスーサイダーブラック。最近多い壁(特に花壁)対策に、Bob Ratsを入れているのが目を引いた。まだ5thに入っていたんですね(笑)。もう1人の全勝者は伏魔殿+ドレットノートのコンボを仕組んだ赤単のクリーチャーバーン。これが先刻のドルイドの誓いで大天使を呼ぶデッキと対戦し、長時間かけて1本目を落とすものの、時間切れ直前に相手のプレイミスから1勝を拾い、マッチを引き分ける。よって4勝1引き分けで2位。4勝1敗は沢山いたのだが、得失デュエル差で何とか3位に滑り込むことができた。うーん、筑波ブルーだと途中でデュエルを幾つか落としてしまっただろうから、こうはいかなかったと思う。
3位の賞品はラースサイクルのブースター3つ。Grave PactにSeismic Assaultという引き。なかなかの賞品であるが、ラースサイクルのドラフトで引いたならさぞ壮絶なデッキになっていただろう。テンペの初手もKindleだし。