アクエリのプレーヤーが絶対にやってはイケナイ事。

 このコラムは、他のコラムとは指向性が異なる。
 デッキ構築論やプレイングや大会での立ち回りと言った実戦的な事ではなく、自分の生活圏でいかにアクエリを出来る場所を確保できるか、そう言った話である。
 これは、大会に参加して優勝することよりも、重大な内容だと私は信じる。

 さて、本題。仮定の話として、(1)『デュエルスペースがあって、コロシアムや戦国トーナメントなどの予選を積極的に開いてくれるけど、定価販売のお店』と(2)『デュエルスペースもなく、イベントは全く開いてくれないけど、1割引で販売しているお店』の2軒の販売店があった場合、君はどう振る舞うだろうか? 考えてみて欲しい。
 ここで、アクエリのプレーヤーが絶対にやってはイケナイのは『カードは全て(2)のお店で買って、(1)のお店のイベントに参加する』と言う事である。
 確かに、そうすれば同じ投資額で多くのカードを手に入れることができて、なおかつイベントにも参加できる。が、そんなことをしていたら(1)のお店は潰れるか、アクエリのサポートをやめるかしてしまい、アクエリをする場がなくなってしまうのだ。
 アクエリを末永く遊びたいのであれば、多少は割高でも、デュエルスペースを持っていてイベントも開いてくれる(1)でカードを買うべきなのだ。

 確かに、マジックなどではネット通販などの安売りショップが幅を利かせている。が、それは、2重にマージンを取っている日本の代理店が頭悪いだけである。輸入したパックは、まず直営店であるポストホビーに卸し、そこからホビージャパンに卸す形を取っている。そこからさらに、日本風の流通経路に流すわけで、海外のパックと比べて2倍近い価格差があるのだ。TCG界の大黒柱とも言うべきマジックがこんな状況である。高校生以上の賢いユーザは並行輸入の安いパックを買っていて、バカ高い日本のパックを買っている愚者は小中学生だけである。だから、デュエルスペースの経営は火の車である。
 頭の痛いことに、TCGのブームに乗って、多くのメーカがイベントなどのサポートを全くするつもりのない、売り逃げることだけを目的としたTCGを乱売しており、これの不良在庫化もまた、デュエルスペースの経営を圧迫している。

 実は、アクエリはTCGの中では掛け率(売値に占める原価の割合)の高い商品である。つまり、カードが売れてもあまり儲からないのである。そんな状況で、(2)の店が仕掛ける価格競争に(1)を巻き込むんだら、サポートの低下は目に見えている。極論だが、割引販売する代わりにサポートを一切しない、(2)タイプのお店が2軒できあがるだけである。
 アクエリは、高い掛け率を手厚いイベントのサポートで補ってユーザを獲得しているTCGである。年に何回も全国大会を開き、その予選を各地の販売で開き、参加賞用のプロモと上位の商品を無償で提供してくれるTCGなんて他には類を見ない。そして、販売店さんと言うのは、そう言うサービスの窓口となってくれる存在なのだ。
 言い換えるならアクエリのカード代というのは、カードそのもの代金に、ブロッコリーと販売店がイベントを開催する費用が上乗せさせられている、と考えて良い。ブロックトーナメントの地区決勝や、アクエリアンコロシアム、アクエリアングランプリと言ったイベントは無料で参加できる。これがマジックだと、日本選手権の地方予選にエントリーするだけで3000円もの参加費を取られてしまうのだ。
 自分が住んでいる地域でそう言うサービスが受けられないと言うのは、それだけで損をしているのだ。

 だから、重ねて言う。(2)の様な販売店でカードを買うのを辞め、(1)の様な販売店でカードを買うようにしないとならないのだ。

 だが、不幸にも、自分の地元にはカードを売ってくれるお店はあっても、イベントを開いてくれるお店がない場合もある。そう言うときはどうすれば良いか。
 決まっている。”君が”主催者となってイベントを開催すればよいのだ。デュエルスペースがないのなら、公民館を借りて公認大会を開けばよい。公認の申請をお店にしてもらえば、ブロッコリーからちゃんと参加賞のプロモや優勝商品を送ってもらえる。
 基本的に(2)の様なお店には、こういうアプローチをすれば良い。

 逆に、(1)の様なお店が複数ある、と言う幸せな状況の場合の立ち回り方を述べよう。ズバリ、下手に両方のお店を競わせてはならない。通常なら、その地域でアクエリが活気付き、相乗効果で共存共栄するハズなのだ。
 価格競争に持ち込まれるとサービスの低下に繋がる理由は上で述べた通り。また、サービスの競争になって、イベントの日が被ったりしたら最悪である。被らなければ2回もイベントに参加できるのに、被ったせいで片方を諦めないとならなくなる。
 お互いのお店の情報を知らせ、イベントの日を被らないように調整してもらおう。

 それでもなお、販売店同士の抗争が起きて、二者択一を迫られるようなら、よりユーザのことを考えている販売店を選ぶしかない。と言うか、そう言う状況になる、と言うのは片方の店が自分のことしか考えていないからだ。往々にして、抗争を仕掛けた側がそういうお店だと言える。思い当たる点はないだろうか? やらたと競合店の悪口を言う。アクエリのようにイベントのサポートをしっかり行っているTCGと、マジックのようにロクに賞品を提供しない割にイベントを開くと膨大な事務処理が課せられるTCGと、(特に名を秘す)の様な売り逃げTCGを同列に扱って、一律の参加費を課している。自分の店の経営が成り行かないのを、競合店の妨害のせいにする。大会の参加費がやたらと高い。「普段、お店で買い物をしている人はタダでイベントに参加できる」と謳っておきながら、実際はイベントの1週間前に1000円以上の買い物をしないとイベントに参加できない(TCGの性格を考えると、新商品の発売直後や収入があった直後に全力で買いたいのに、そう言う制約を付けるというのは、実質的に1000円の参加費を課していることになる)。開店/閉店時間が不定で、公称している営業時間に行っても閉まっている場合がある。雑誌や店頭で告知したイベントをちゃんと行わない(人が集まらないのではなくて、準備がなされていない)。
 残念ながら、そう言う店はイベントを開いてくれても有害なお店だ(上に挙げたのは、良くない販売店の実例だ)。店から客が離れるだけなら良いが、アクエリから、TCGからプレーヤーが離れる元凶となってしまっては最悪である。仕方ないので、そう言うお店は徹底して不支持を表明しよう。
 「不支持を表明」と言っても、単にお店の悪口を言うだけでは意味がない。君がイタイ人として隔離されてしまう。お店の経営を圧迫して、潰れてもらうのがベターだ。お店に収益がなくて、経費だけかかる状況になれば、お店は運転資金がなくなり、潰れる。収益をなくすには、買い物と、参加費を要求されるイベントへの参加をしなければ良い。経費をかけるには、デュエルスペースを利用すればよい。  結論から言うと、その店で商品を買わない。買い物をしないのにデュエルスペースを利用する。そう言う振る舞いをすれば、お店は遠からず潰れてくれる。

 ここで気が付くだろうか。最初に挙げた「アクエリのプレーヤーが絶対にやってはイケナイ事」と言うのは、実はお店を潰すための手段なのだ。
 つまり、短期的な視点、狭い視野で、自分の有利さだけを追求していると、地元の優良店を潰し、結局は自分が苦しむ結果になるのだ。


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