(1)緑 〜夢のクリーチャー王国
第一の特徴は、豊富でコストパフォーマンスの良いクリーチャー群である。致命的なデメリットのない、4マナで4/4以上のクリーチャーが多くいるのは緑だけである。それ以外のマナ数においても、コストに対してパワーやタフネスの高いクリーチャーは沢山いる。ただ、飛行やシャドーといった強力な回避能力やプロテクションを持つものはほとんどいない。
高速マナとなるパーマネントやエンチャントも数多い。特に1マナで使えるものが多く、手早く巨大クリーチャーを召還するのに役立っている。
また、エンチャント・アーティファクト・ランドの除去能力は極めて高い。この3種類への除去能力を取りそろえているのは緑だけである。特にエンチャント破壊能力は他に白しか持たないものなので重宝する。
デメリットは、クリーチャー除去能力の欠如である。飛行やシャドーをブロックできるクリーチャーも少ないので、そう言うクリーチャーには手も足も出ない可能性がある。
また、リソース・アドバンテージを獲得するカードが非常に少ない。
初心者に使いやすい色であると言われているが、それはコントロール型のデッキを構築できないことの裏返しである。一般に、緑と組み合わさるのは、クリーチャー除去能力が豊富な色、“剣を鍬に(絶版)”や“神の怒り”を持つ白か火力の豊富な赤である。
(2)赤 〜暴力による解決
最大の特徴は、豊富な直接ダメージ呪文であろう。クリーチャー除去とプレーヤーを倒すの両方に使える。他の色のカードと比べるとコストパフォーマンスが高く、種類が多いことから枚数を入れる事ができる。
クリーチャーは召還酔いに影響されないものが多い。これは、ある種のダメージ呪文のように使え、赤のダメージ能力をさらに高めている。
また、“ジョークルホープス”や“黙示録(TE)”の様な有効範囲の広い全体破壊呪文があるのも赤だけの特徴だろう。土地とクリーチャーを流す「リセットボタン」である。
これらのカードは、長期戦になって失ったアドバンテージを一気に回復してくれる。
土地破壊能力が非常に高いのもこの色の特徴であろう。特に、色マナへの依存が少ない土地破壊呪文があるので、土地破壊デッキには欠かせない色だ。
強力なダメージ能力を埋め合わせるかのように、赤には致命的な弱点が多い。
まずはエンチャント除去能力の欠如。これは、赤いダメージを完全に封じ込める“赤の防御円”を相手にしたとき、致命的になる。他にも“避難場所(ST)”“寒け(TE)”“暖気(TE)”など赤に壊滅的な打撃を与えるエンチャントは多い。
クリーチャー除去がダメージ呪文に依存していることより、タフネスの高いクリーチャーやプロテクション赤を持つクリーチャーを除去するのが難しい。
また、緑と同様にリソース・アドバンテージを獲得するカードが非常に少ない。
(3)黒 〜リソース破壊の万能色
黒の特徴はクリーチャーが如実に表している。とにかく攻撃的なものが多い。パワーは高いがタフネスの低いものが多く、ブロックに使えなかったり、呪文の対象になると破壊されてしまったりするものもいる。また、飛行やシャドー・プロテクションを持ったものが多く、相手のクリーチャーにブロックされずにダメージを与える。
相手のリソースを奪うカードが多いのも特徴だろう。手札破壊など黒だけの特権である。特に、ライブラリに戻す手札破壊は同時にターン破壊も行うので強力だ。また、実用的なランド破壊カードも数多くある。
意外と充実しているのがクリーチャー除去能力である。だが、ダメージによらない除去カードである分、確実性が低くて使い方が難しい。
“暗黒の儀式”がもらたす瞬間的な高速マナも黒の特徴である。これによって序盤で先手を打つ事も可能だ。中盤以降では、マナ拘束やカウンターにも耐性を持つことになる。
その他、ライフなどを代償とした極端なドロー加速能力や、墓地のカードをリソースとして活用できるのも黒の特徴だ。
黒の欠点はその防御能力の低さだ。
特にエンチャントとアーティファクトの2つへの除去能力を欠いているのは、時として命取りとなる。赤の時の同様に“黒の防御円”が特に問題となる。
(4)青 〜コントロールの要石
ドロー強化能力は青の特徴であるといえる。純粋にドローを得るだけでなく、ライブラリを何枚か見る事の出来るカードが多い。コストが低くいキャントリップ呪文も多く、デッキ圧縮には最適に色である。
場にあるパーマネントなどを手札やライブラリに戻す能力も青の特徴である。一時的ながら除去として働くが、基本的にターン・アドバンテージ獲得の手段である。
また、色の書き換えやコントロールの操作、対象の変更など、使い方が難しい分、効果が絶大なカードも青の特徴だ。相手のカードを自分に都合よく使うことでカード・アドバンテージを獲得している。
飛行クリーチャーの多さも青の特徴だろう。特に対コスト効果の高い巨大飛行クリーチャーは青だけの特権である。
最後に、ほぼ青だけに限定される能力としてカウンター能力を付け加えておく。これは、カウンターデッキの項を参照して欲しい。
青の欠点はカウンターデッキの欠点とほぼ一致する。
確実な除去能力の欠如は最大の問題となるだろう。アーティファクトへの対処能力は比較的有効なものがあるが、クリーチャー・エンチャント・ランドへの対処能力は非常に低い。特に土地はカウンター出来ないので致命的な場合もある。
クリーチャーにコストパフォーマンスの良いものが少ない。ほとんどのクリーチャーは飛行を持っていること以外に特色のないものばかりだ。コストが安くて優秀なクリーチャーが少ない、唯一の色である。
(5)白 〜万能除去の鉄壁な守り
白の特徴は豊富な除去能力であろう。特にアーティファクトとエンチャントへの除去能力は他の色の追随を許さない。この両方に効くカードがあるのが、柔軟な対処能力を与える。
クリーチャー除去は、単体除去は赤や黒に劣るものの、全体除去は白が勝る。
ライフ獲得やダメージコントロールも、白が強力な効果のものを持っている。
コストの安いクリーチャーに性能の高いものがいるもの白の特徴だ。
1枚で効果を発揮するロックカード“ハルマゲドン”は白の切り札となるカードである。
死角の少ない白にも1つだけ致命的な弱点がある。それは対コスト効果の良い大型クリーチャーがいないことだ。これでは、せっかくの鉄壁な守りを活用しつつ相手にダメージを与えることが出来ない。ウイニーにすればダメージ能力は高くなるが、そんなデッキには白の特色である防御的なカードは入らない。
あと、土地の除去が“ハルマゲドン”だけなので柔軟性がないのが、欠点と言えば欠点だろう。