・前置き
 今回の大会は、ウルザサーガの使用が前倒しで認められている。と言うことで、全国の読者のために、積極的にウルザサーガのカードを試してみることにする。だが、残念なことに、この大会で使用することを目的に注文していたウルザサーガのカードが当日までに届かないと言うアクシデントが発生。トレードで集めた分だけで勝負するしかなくなった。
 また、日本語版ウルザサーガのカードは、他のカードと比べて角のカットが異なり、明らかなマークドであるという問題もある。これを知ってなるべく英語でカードを集めるようにしてたのだが、どうしても1枚だけ日本語版のカードが混じることになってしまった。そう言う訳で、前日になってヘッドジャッジの安西君に相談。「スリーブに入れておけば問題ない」「今回の大会ではいきなり使用禁止にはしない」と言う回答を得る(本来なら混ぜて使ってはまずい。最低でも警告、土地とそれ以外とか意図的に分けて混ぜている場合は失格もある。まあ、地方の大会でそこまで厳しくする必要はないんだろうけどね)。
 前々回あたりから、参加人数に制限がつくことになった。特にエクステンデッドは、午前中のみの2時間半程度で終えないとならないので、16人という厳しい制限である。しかも、今回の大会から(前倒しで)ウルザのカードが使用可能となった事でミラージュブロックは使用不可能になった。ミラージュブロックの資産を生かすためにエクステンデッドの参加者が増えると予想される。そう言うわけで、いつもより早く出発。会場10分前に到着。それでも20人程度は人が集まっていた。小中学生らしき人間が多い。エクステンデッドに参加できるか微妙な線であったが、幸いにも14番目の参加権をGet。スタンダードの方の番号を見ると18番であったので、本当に微妙なラインであった。
 受付をすると、スタッフの方に「レベルの低い大会にようこそ」と嫌味を言われる。散々このHPの文章で「参加者のレベルやジャッジのレベルが低い」と書いていたのを読まれたそうである。まあ、僕が通常、想定してるのがプロツアー国内予選の決勝レベル(参加者は予選で選ばれていて、ジャッジは認定レベル3)なので、仕方ないと言えば仕方ない。自分が主催する大会だって、全然、満足の行くレベルではない。
 そもそも、僕が「満足のゆくレベルの大会」に参加したことは2度しかない。'96ファイナルACAP香港大会国内予選である。第5回東京大会もそれに数えて良いかもしれないが、決勝に残れなかったので除外する。大会名のリンクは当時のレポートである。この3大会の結果で一時期はDCIの日本国内ランキングが50位前後だった事があったが、これはもう過去の話。今はそんな実力はない。
 山梨からこのレベルの大会に参加すると、交通費などで1万円以上は飛んでしまうので、マジックを中断していた1年間を含めて、ここ2年ほどは参加していない。もっとお金に余裕があればなぁ。

○エクステンデッド編
・メタゲーム
 前回、カウンターポストを含めたコントロール系が幅を利かせていたので、それに対抗できるデッキを組む。ネクロが良いだろう。Dual Landなど当然のように持っていないので、黒単色である。以前に黒多色のネクロを組んでみたが、うまく回らなかったのでやめることにした。
 で、出来上がりがこのデッキ。捨てと特殊地形破壊に要点を置いて、カウンター殺しのマナ拘束カードContaminationまでも加える(維持の賄いはダンスと要塞。これは本来、ボトルノームに適用して定期的なライフ回復につかうものである)。

メインボード60枚
 4 Duress
 4 Hymn to Tourach
 3 Bottle Gnome
 4 Order of the Ebon Hand
 4 Knight of Stromgald
 1 Vamplic Tutor
 1 Corpse Dance
 3 Necropotence 
 2 Contamination
 4 Drain Life
 3 Contagion
 4 Dark Ritual
 3 Waste Land
 2 Volrath's Stronghold
 1 Winding Canyons
 1 Lake of the Dead
16 Swamp
サイドボード15枚
3 Choking Sands
1 Maze of Shadows
3 Quicksand
1 Waste Land
1 Contamination
2 Perish
4 Dread of Night

・第1回戦
 相手はユーロブルー。ほぼ98/7/1付けのスタンダード準拠のデッキ。それ以外のカードはMishr's Factory程度だったと思う。
 1本目は土地しか引かずにゴーレムなどに殴り殺される。2本目も良く覚えていないけど回らずに負ける。てーか、満足に手札破壊やContaminationを引かない。で、逆にAmnesiaを喰らってしまう。
 カウンターには負けないように作ってあったのに、悔いが残る。
 ちなみに、このデッキは今回のエクステンデッドで優勝している。
 マッチ0勝2敗:総合0勝1敗

・第2回戦
 相手は5CB。やはり、ほぼ完全に98/7/1付けのスタンダード準拠
 HymnやLake-Drainの極悪さで勝つ。
 マッチ2勝0敗:総合1勝1敗

・第3回戦
 相手は80枚はあろうかと言う赤黒のデッキ。巨大クリーチャーをBuried Aliveで墓地に送り込んで釣るのが基本で、これに伏魔殿が絡んだりする。適度な火力がそれを補助する。
 1本目、クリーチャー不足で打撃力に欠け、ぐずぐずしている内に伏魔殿−ドレットノート*2で瞬殺される。
 2本目は、Lake-Drainを3発決めて勝つ。
 3本目。Volcanic Dragonを除去しきれずに負ける。
 マッチ1勝2敗:総合1勝2敗

 優勝は、先にも述べたとおり、1回戦目の相手。2位はインテンショナル・ドローで2人。赤単バーンの井上(身内)とカネゴン・ステイシスの安西君。

・結論
 Duressはそれなりに有用であったが、4枚もいれていたせいで打撃力不足となって良くない。
 このデッキ程度ではクリーチャー供給能力が低く、Contaminationを満足に使えない。
 Zur's Weirdingはやっぱり必要。

○スタンダード編
・メタゲーム
ウルザ前の世界で栄えた3つのデッキ、nWo・ユーロブルー・赤バーンは、それぞれ有力なカード(各種187クリーチャー・ゴーレム・FireblastとSuq'Ata Lancer)を失ったが、依然として健在であろう。それ以外のデッキでは、スータイダーブラックはある意味、強化されただろう。逆に白ウイニーはEmpyrial Armorを失って衰退しただろう。コントロール系に取って有力なAura of Silenceも落ちたのが痛い。
 一方、ウルザの登場で新しく現れたデッキはどうだろうか。リサイクリング+Living Death、Sunder-Tradewind Rider、Pariahを入れたSleight-Knightなどが挙げられる。
 ここはボトルノームとStalking Stoneで殴るユーロブルーが有効だと思われるが、敢えて無視。ウルザの新カードを見て思いついたコンボを幾つか試す事にする。
 で、このデッキ

メインボード60枚
4 Turnabout
4 Serivener
4 Energy Field
3 Propaganda
4 Counterspell
2 Mana Leak
1 Forbid
3 Capsize
2 Wiser of the Muse

4 Sapphire Medallion
3 Erratic Portal
2 Scroll Rack 
1 Mishra's Helix

1 Waste Land
2 Svylunite Temple
2 Tolarian Academy
18 Island
サイドボード15枚
3 Chill
3 Hydroblast
2 Interdict
1 Propaganda
2 Forbid
2 Hurkyl's Recall
2 Grindstone

 このデッキの目的はEnergy FieldとTurnaboutの有効性を検討することである。  Energy Fieldは絶対的な防御能力を与えてくれるカードであるが、壊れやすいのがネックである。エンチャント破壊ではなく、クリーチャーでもランドでもアーティファクトでも何でもいいから破壊すると、それにつられて破壊されてしまう。カウンターで防ごうにも、カウンター呪文を打つことによっても破壊されてしまう。手札破壊でも同様である。
 このカードに対する私の結論は、使い捨てることによって序盤の数ターンを稼ぐと言うものである。スーサイダーブラックや赤スライはこれによって完全に沈黙してしまうだろう。ただ、破壊できた一瞬の隙を突くべく、クリーチャーを並べるだろうから、壊れたときの対処策を用意しておかないとならない。
 Turnaboutは、基本的に用途の増えたMana Shortである。もしくは、ルール改正前のAbeyanceを思い浮かべていただければよい。ただ、隠れた使い道としてFogやResetとしての使い方もある。WinterOrbやStasisのデッキならかなり有効であろう。
 相手のターンのアップキープ時に、相手のランドをタップするのに使うと、相手は丸1ターンを無駄にする。特にPropagandaが貼ってあると、マナを封じることでクリーチャーも無効化できる。
 直接クリーチャーをタップすることに使っても良い。これは、先に述べたEnergy Fieldを破壊されたときの対処策になる。
 このデッキでは、 TurnaboutをSerivenerで回収して毎ターン打つことを想定している。 SerivenerはErratic PortalかCapsizeで回収する。10マナ程かかるが、メダリオンを2こ置くと6マナですむのだ。
 そして、 TurnaboutをSerivenerで回収しSerivenerをCapsizeで回収できるなら、このデッキは最終段階に入る。自分のランドをアンタップするために使うことで、無限マナを実現できるのだ。
例:全ランドをタップすると16マナ産める場合
1.Turnaboutでランドを起こす(残り12マナ)
2.SerivenerでTurnaboutを回収(残り7マナ)
3.CapsizeでSerivenerを回収(残り1マナ)
 1~3を繰り返すことで1サイクルで1マナが余計に生まれる。これは、メダリオンが0枚の場合で、1枚だと13マナ、2枚だと10マナ、3枚だと8マナ、4枚だと6マナで無限マナのサイクルが成立する。このデッキはアーティファクトをふんだんに使っているので、 Tolarian Academyを併用することで、大量のマナを確保しやすくなっている。
 こうして得られた無限マナで、相手のパーマネントを全てCapsizeしてしまえば良い。後は無人の広野をSerivenerで殴るだけである。
 はっきり言って、バーンには勝てるだろうけど、nWoやユーロブルーには勝ち目ないです。カウンターも少ないし。
 なお、本来ならここの大会はスイスドロー5回戦なのだが、参加人数が多かった為、急遽、スイスドロー6回戦に変更される。もう少し負担の少ないデッキへ(Pariahを入れたSleight-Knight)の変更も考えたが、調整不足だしサイドに不安があるため、このデッキで出ることにした。

・第1回戦
 相手は、青白緑のコントロールデッキ。Tradewind Rider-Armageddonのロックが決め技であろう。
 最初、相手のデッキがよく分からなかった。花壁とレガシーを見たので、Awaking-Capかと推測したが、やけにクリーチャーが多く、PlainからDisenchantが飛んでくる。戸惑っている内に、ArmageddonやTradewind Riderが出てくるので、そう言うロックのデッキだと認識する。それにしても構成要素が多い。普通ならデッキになっていない。で、どの部分が削られているか推測した所、カウンターが少ないのだろうという結論に達した。そこで毎ターンTurnaboutを打つことにしたところ、相手は投了した。ここまでで、かなりの時間が経っていた。
 2本目は、Riderと捨て棒が出てかなりピンチになるものの、粘って何とか時間切れ。 マッチ1勝0敗:総合1勝0敗

・第2回戦
 白にちょっとタッチした赤ウイニー。
 1本目はEnergy Fieldを貼って粘るも、Propagandaを貼り忘れたまま、Turnaboutがない時にEnergy FieldをDisenchantされ、そのターンの内に15点削られて負ける。
 サイドボード後の2本は、Chillをちゃんと引いたので、しっかり勝つ。
マッチ2勝1敗:総合2勝0敗0引き分け

・第3回戦
 青いライブラリ破壊。
 結構、押されていたし、GrindstoneでSerivenerをかなり墓地に落とされる。
 だが、さすがはTurnabout4枚入りのデッキ。最後には簡単に隙を導き出し、無限マナを決める。
マッチ2勝0敗:総合3勝0敗

・第4回戦
 この段階で全勝は6人。「小学生が多く、遅くなるとまずい」とのことで、スイスラウンドを5回戦で終わり、上位4〜8位の人間によるシングル・エルミネーションによる決勝戦を行う、と言う形式に変更された。
 で、今回の相手。nWoを使う坂本(兄)君。
 1本目は、こちらの土地が良く回っているのに対し、相手は事故気味。Capsizeでランドを戻して拘束してると、あっさりと投了した。
 サイドボード。本来ならここで赤対策のカードを大量投入するのだが、そこまでレベル高いnWoじゃないだろう、と敢えて見送る。
 2本目、いきなりLobotomyを喰らいCapsizeを失う。その上、Boilまで喰らう。やばい、完全にサイドボードミスだ。 Lobotomyを喰らった時点でほぼ勝負がついているのだが、相手のデッキの正体を探るために投了せずに続ける。
 Peregring Drake2体を交互にRecurring Nighrmareで回して無限マナを得て(1サイクルで2マナ出る)、これで今度はWall of Blossomを回し、カードを10枚引く。最後に、Ogre Shamanで致死ダメージを与えるというデッキであった。まあ、コンセプト的には馬クラフトと一緒である。構成要素が少ないのが特徴であろう。
 Ogre Shamanで20ダメージ喰らうとき、わざわざ手札を10枚落とすように要求までした(他のプレーヤーを見ていると、宣言された段階で負けを認めていた。マッチの最終戦ならともかく、プレイングが甘いと言わざるを得ないだろう。)のだが、落ちたのはランドがほとんどであった。多分、これ以外のコンボは組み込まれていないようである。
 3本目はしっかりサイドボーディングする。Survival of the Fittestでクリーチャーを落とすことにかなり依存したデッキであるので、徹底してFittestを弾く事にする。はっきり言ってデッキ的に勝ち目は少なかったが、途中Capsizeを使い捨てで2回使ってクリーチャーを全部除去してThran Quarryを2枚破壊したことも功を奏し、時間切れとなる。
 マッチ1勝1敗:総合3勝0敗1引き分け

・第5回戦
 この段階で全勝は1人に絞られてしまった。で、4回戦の全勝対決3組の内、2組が引き分けてしまったのだ。また、3勝1引き分けのプレーヤーは6人ほどおり、3勝1敗のプレーヤーも8人以上はいた。で、3勝2引き分けでは4勝1敗のプレーヤーに得点で負けてしまうので、インテンショナル・ドローはできない。
 今回の相手は後藤光君。以前、私が主催した方の大会でも好成績の残していたプレーヤーである。
 デッキは赤スライ。Cursed ScrollやScalding Tongsもちゃんと装備していて、2回戦目の相手のように変にタッチカラーもしていない。
 1本目、 Energy Fieldを貼る。カードを説明するとかなり驚く。そりゃそうだろう。メインボードにはダメージを与えるカードしか入っていないだろうから。土地破壊やアーティファクト破壊なんて入っていないだろう。それにCOPやプロテクション:赤が出てきてもアーティファクトでなんとかできるから、そもそも入れる必要ない。
 このまま相手を拘束して、無限マナから全てのパーマネントをCapsizeすると、相手は投了した。
 2本目はサイドから投入したChillとHydroblastが活躍するので楽勝かと思いきや、肝心のChillを引かない。全然引かない。 Energy FieldはPyroblastでかなり無効化される事は想定していただけに、Chillを引かないとかなり苦しい。結局、そのまま押し切られる。  3本目はもっと酷い。 Hydroblastすら引かずに負ける。
 Douseが用意できなかったのをかなり悔やむ。

 5回戦を終わった段階で、5勝0敗が1人、4勝0敗1引き分けが2人と、きれいに上位3人が決まったので、決勝のシングルエルミネーションはなし。このように、コロコロと大会の形式が変わるのは、本来は良くないことだが、小学生を多く参加している大会では仕方のないことだろう。幸いにも、4回戦目で全勝グループがのきなみ引き分けた事で、決勝進出を計算に入れてインテンショナルをしたプレーヤーがいなかったことで、参加者からは大きなクレームは出なかった。
 優勝は、OppressionにPoxやLurking Evilを絡めた黒単。2位と3位には、4回戦目の相手であった坂本(兄)君と5回戦目の相手である後藤光君が共に4勝1引き分けでプレイオフ。坂本(兄)君が勝った模様。

 結論
 Energy Fieldはかなり有効。だたし、サイド後の赤に対しては意外なほど脆い。
 コンボ完成にはTurnaboutやSerivenerよりも土地の方が必要だった。これらのキーカードを削って土地を増やした方が効率良かったように思われる。
 Serivenerで毎ターンTurnaboutを打つコンボはあんまり使わなかった。